Summary
授乳量は目安の数字があるので、参考にしつつ、赤ちゃんに授乳しましょう。
Discussion
授乳量というのはそれぞれの赤ちゃんによって大きく異なるため、どれだけ飲めば正解というものはありません。しかしながら粉ミルクのメーカーや厚生労働省が「標準値」を出していますので、その値を把握しておくのは損にはならないでしょう。
粉ミルクメーカーの授乳量
下記は森永の「はぐくみ」という製品のパッケージに記載されている1日の回数及び1回の使用量です。この使用量をもとに、1日の授乳量を算出してみましょう。5か月以降で授乳量が減っているのは、離乳食が始まるからです。
月齢 | 標準体重kg | 1日の回数 | 1回の使用量ml | 1日の授乳量 |
---|---|---|---|---|
-1/2か月 | 3.1 | 7-8 | 80 | 560-640 |
1/2-1か月 | 3.6 | 6-7 | 120 | 720-840 |
1-2 | 4.6 | 6 | 160 | 960 |
2-3 | 5.6 | 5 | 200 | 1,000 |
3-4 | 6.4 | 5 | 200 | 1,000 |
4-5 | 7.0 | 5 | 200-220 | 1,100 |
5-6 | 7.4 | 4 | 200-220 | 880 |
6-9 | 7.6-8.3 | 3 | 200-220 | 660 |
厚生労働省の授乳量
厚生労働省が、平均体重やキログラム当たりの平均消費量を出しています。こちらからも使用量を計算してみます。
例えばですが、一般的には1kg当たり約100ml〜200mlほど飲むと言われており、平均の150ml/kgだとすると、3,000gの赤ちゃんは1日に450ml飲むという事になります。
平成22年(2010年)「乳幼児身体発育調査」に各月齢毎の体重が載っていますので、上下限及び平均の消費量を算出してみます。
男子の結果は以下になります。
月齢 | 1日の授乳量 | 平均体重(男) | 下限(100ml) | 平均(150ml) | 上限(200ml) |
---|---|---|---|---|---|
出生時 | – | 2.98 | 298 | 447 | 596 |
-1/2か月 | 560-640 | 3.56 | 356 | 534 | 712 |
1/2-1か月 | 720-840 | 4.13 | 413 | 619.5 | 826 |
1-2 | 960 | 4.78 | 478 | 717 | 956 |
2-3 | 1,000 | 5.83 | 583 | 874.5 | 1,166 |
3-4 | 1,000 | 6.63 | 663 | 994.5 | 1,326 |
4-5 | 1,100 | 7.22 | 722 | 1,083 | 1,444 |
5-6 | 880 | 7.67 | 767 | 1,150.5 | 1,534 |
6-9 | 660 | – | – | – | – |
女子の結果は以下になります。
月齢 | 1日の授乳量 | 平均体重(女) | 下限(100ml) | 平均(150ml) | 上限(200ml) |
---|---|---|---|---|---|
出生時 | – | 2.91 | 291 | 436.5 | 582 |
-1/2か月 | 560-640 | 3.40 | 340 | 510 | 680 |
1/2-1か月 | 720-840 | 3.89 | 389 | 583.5 | 778 |
1-2 | 960 | 4.46 | 446 | 669 | 892 |
2-3 | 1,000 | 5.42 | 542 | 813 | 1,084 |
3-4 | 1,000 | 6.16 | 616 | 924 | 1,232 |
4-5 | 1,100 | 6.73 | 673 | 1,009.5 | 1,346 |
5-6 | 880 | 7.17 | 717 | 1,075.5 | 1,434 |
6-9 | 660 | – | – | – | – |
以下算出の前提条件です。
- 平均値に掛け算しているので、あくまで参考値という事でお願いします。
- 100-200mlのソースについてはWHO/UNICEFの数値が元になっているようです。乳幼児身体発育評価マニュアル P26表4-2 母乳だけで育つ児の体重増加の目安として参考となる数値
- 男女で体重が少し異なりますので、男女別に表を作成しています
- 平均体重については表3「昭和 35 年、昭和 45 年、昭和 55 年、平成2年、平成 12 年及び平成 22 年の調査結果(平均値)比較 体重(kg)年・月齢別、性別、年次別」から値を取っています。何故か赤ちゃんのグッズを作っている複数の会社(CF1: 西松屋)(CF2: P&G)がこちらの値を採用していたからです。ちなみにこの値と表1「 一般調査及び病院調査による体重の身体発育値(3,10,25,50,75,90 及び 97 パーセンタイル値) 年・月・日齢別,性別」の中央値(パーセンタイル50)は値が微妙にずれています。平均値と中央値で異なるという事なのでしょう。
- 新生児〜1/2か月については平均値が載っていませんので、前後の数値から平均を算出しています
- 1/2-1か月については平均値が載っていませんので、中央値を採用しています
比較の結果
数値を比較する限りでは、男女とも2か月以下はメーカーの授乳量が上限の1kg/200mlを超えています。つまり、平均体重で1kg当たりの上限まで飲んでも、メーカーの考える授乳量の方が多いという事です。どうやって計算しているのか計算式が分からないので、評価のしようがありませんが、メーカーが出している数字とは大きく異なるという事がわかりました。そもそもメーカーが記載している体重が異なりますので、当然消費量も異なるという言い方も出来るかもしれません。
どちらが正しい量かというところは、メーカー側のソースが明示されない限りは分かりません。WHOや厚生労働省の数値を信用するのであれば、1日に1kg当たり約100ml〜200mlの間でミルクを飲んでいる場合は正常値の範囲内に納まっている、と考えてよいと思います。赤ちゃん毎に当然使用量は異なりますので、範囲がある方が親の精神的にも安心できます。
この量についてはかなり大きく幅があるので(1日の量が100-200mlという時点で倍の値なので、参考になるのかな?と思ったりします)まぁ範囲内に入っていればいいか、くらいの気持ちが良いでしょう。
My Experience
粉ミルクのパッケージに記載されている量は二人とも飲めませんでした。1回の量もそうですし、1日の総量でも無理でした。初めはこの量に惑わされたりもしたのですが、どうやっても到達しないので無視をするようになりました。1回あたりの量についてはもっと小刻みに増加していくものなので、パッケージに記載されている数字はあくまで参考値という扱いで良いのではないでしょうか。
あくまで指標なので、気にしすぎないというのが正解だと思います。我々も安定してミルクが飲めない期間(初めの一か月くらい)はかなり気にしていましたが、数か月経てば、殆ど気にならなくなりました。そもそも1kgあたり100-200mlというWHOの指標もブレ幅が大きすぎるので、赤ちゃんが気分よくミルクを飲んでいる範疇においては問題ないという事なのでしょう。
1日の中でのミルクの量の調整については、別の記事にしたいと思います。
Lessons Learn
1日に体重1kg当たり約100ml〜200mlの間でミルクを飲んでいる場合は正常値の範囲内に納まっている
Next Action
授乳(授乳量1回の量編)を確認して、実際の運用に活かしてください
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