Summary
会社と折り合いがつく範囲内で、長く休みを取得することを強くお勧めします
Discussion
2022年10月から出生時育児休業(産後パパ育休)という制度が施行され、男性も産前産後時に育児休暇をとることを、国がさらに推奨するようになりました。
育児休業制度の背景
背景には男性側の育休取得率が非常に低いということがあるのでしょう(2021年度で13.97%)。しかしながら、そもそもこの休暇が必要なのかという根本のところにおいて、法律を作る側が具体的な必要性を説明出来ていません。当然ながら取得する側の夫も理解出来ませんので、大上段から振りかぶって「取得せよ」と法律を作ったところで、育児休業を取得して遊びに行く、飲みに行く、という妻側から見るとけしからん夫を増産することもあるでしょう。さらに、面倒を見る必要のある子どもがもう一人増えて出産後の嫁が絶望したりする、という事態にもなりかねません。
育児についてのタスク
産前産後で夫にどのようなヘルプが求められるのか、というポイントを、我が家の事例をもとに考えていきたいと思います。産後のタスクを事前にある程度頭に入れておくことにより、退院直後のドタバタがある程度想像できるのではないでしょうか。そうすると、事前の準備が捗ったり、タスクの分担といった建設的な議論が家庭内で出来ると考えます。
- 赤ちゃんが生まれたことによる新設タスク
- おむつ替え
新生児だとおしっこ、うんこの替えなどで1日8回以上発生します。1回につき5分程度 - 授乳
授乳形態によりますが、どの場合も1日に複数回哺乳瓶から授乳する可能性があります。哺乳瓶を使った授乳の場合は、ミルクの準備(粉ミルクから液体ミルクを作る)、授乳、哺乳瓶の消毒などの作業が必要となります。その時の飲むスピードにより所要時間は変わってきますが、全部合わせると1回につき30分以上かかることもよくあります- 完ミ(育児を粉ミルク等、母乳以外で行う):3時間おき、もしくは泣いたタイミング。1日8回程度
- 混合(育児をミルク及び母乳の両方で行う):ミルクは3時間おき、母乳はランダムに飲ませる。ミルクと母乳は補完関係にあるが、両方とも1日に複数回
- 完母(育児を母乳のみで行う):搾乳しない場合は時間はランダム。1日に複数回。搾乳する場合は3時間おきで1日に8回程度
- 寝かしつけ
授乳後や夜に子どもを寝かせてやる作業です。寝かしつけないとずっと泣いている、というような子どももいます。少なくとも夜は大人も寝るために子どもに寝てもらわないといけないのですが、放っておくと永久に泣いていたりします。完ミ(混合)の場合は、3時間おきの授乳すると仮定すると(授乳時に起こす、もしくは起きて泣き出すので)、夜だけで3回ほど発生します。どれくらいかかるかは子どもの気分によるので、3分の時もあれば1時間くらいかかることもあります - 沐浴
基本的に1日1回、家庭の都合のいいタイミングで実施します。10-15分くらい - 各種申請
公的機関への申請(出生届や子ども手当の支援金など)、会社への申請(出産一時金、扶養届)などが必要です。複数回役所にいったり、会社に確認が必要だったりします
- おむつ替え
- 赤ちゃんが生まれたことにより、作業量が増えるタスク
- 洗濯
子どもの洗い物が増えます。普段の服や沐浴時のタオル、おもらししたときの追加など、日に複数回実施することも。ドラム式の場合は干す手間は省けますが、ベビー服によっては乾燥を推奨しないものもあります。産後に嫁の体調が思わしくない場合は、夫側の作業になります。育児で子どもから手が離せない場合も、夫側の作業になります。大人と子どもで洗剤や柔軟剤を分けたい場合は、洗濯自体を分ける必要があるため、大人のものと子どものものを分けて実施する必要が出てきます - 掃除
子ども部屋の掃除が必要です。クリーンルーム並みにする必要はないと思いますが、ある程度きれいにしてあげた方がいいです。産後に嫁の体調が思わしくない場合は、夫側の作業になります。育児で子どもから手が離せない場合も、夫側の作業になります。当然ですが、大人が住んでいる部屋や風呂、台所などの掃除も必要です - 買い物
消耗品であるおむつやおしりふき、粉ミルクなどはどんどん無くなっていきます。育児で必要と思われるものを追加で購入する必要も出てきます。また、夫婦が生活するうえでの必需品なども必要です。新生児を放って買い物には行けないので、スーパーへの買い物などは自然と夫側の作業になります - ゴミ出し
今までのゴミに加えて、使用済みおむつが増えます。使用済みおむつは大量に出てくるため非常に重く、夫側がゴミ置き場まで運ぶ方が良いでしょう
- 洗濯
- 休業することにより、作業量が増えるタスク
- 料理
子どもはしばらくミルクなので、大人の分のみで大丈夫ですが、作る必要があります。今まで外食の割合が多い場合などは、外に出れなくなるので作る作業が激増します。産後に嫁の体調が思わしくない場合は、夫側の作業になります。育児で子どもから手が離せない場合も、夫側の作業になります。当然ですが料理後の片づけや食器を棚にしまうというような作業も発生します
- 料理
男性側も育休をとるべきだというのは、子どもの世話という未知のタスクが増えるだけではなく、上記にあげたような「生活の中で単純に作業が増える」タスクも出てくるという事も理由に挙げられます。退院時の嫁の体調が悪い場合は、家事などを積極的に夫側がしなければ家庭が崩壊する恐れもあります。もともと家事を完全に分業制としていた場合も、担当していたタスクだけではなく、今まで任せていたものも引き取る必要が出てくることもあります。
育児関連作業については、嫁側もほぼやったことのない作業なので、スタート地点は全く同じです。嫁が産院で少しやり方を教えてもらって帰ってくるのを唯一の知識として、手探りで色んな事を進めていくしかありません。その作業は二人で進められることをお勧めします。数週間任せてしまうと、嫁側だけが技能を習得してしまい、結局すべて嫁に任せてしまう事になるので、すごく不安ですが子どもが帰ってきた初日から何らかのタスクをすることが成功への第一歩でしょう。
ワンオペは精神的につらい
育休のメリットは物理的な作業を担うというだけではありません。精神的に支えあうというのことが非常に大きいです。おむつを替えるのも、ミルクをあげるのも、寝かしつけるのも、嫁にとっても全て初めての作業です(経験があったとしても産院での数日だけです)。そのため、何かにつけて「これで正しいのか?」と思うことが出てきます。ミルクを適量飲まない、うんちが何日も出ない、全然寝てくれない、謎の泣き声をあげる、変なできものが出来る、など様々な悩みが出てきます。この困難を、ワンオペでこなすのと、二人で乗り越えるというのは全く違います。相談相手がいる、少し困ったときに頼る相手がいる、というのはすごく大きいことではないでしょうか。二人で相談しながら、何が正しいのか、どうやったら良くなっていくのか、迷いながらも漸進していくことが家族の絆を強靭なものにしていくことでしょう。
夫だけが働いていて妻が専業主婦の場合は「子どもの世話は妻の仕事でしょ?」と思われるかもしれません。その場合は、いかにワンオペに無理があるかを理解するため、試しに、夫側だけでワンオペをやってみてはいかがでしょうか。当然ですが育児をこなすだけではなく、家事も含めて、です。妻はオフなのでヘルプを求めたり、相談するのは禁止です。ほとんどの男性が、1日持たないんじゃないでしょうか。ワンオペに関しては別の記事で困難さを詳しく解説します。
不安なポイントとして育児休業中の収入が挙げられると思いますが、こちらは別の記事を参照ください。
My Case
我が家は双子ということもあり、6か月休業を取得することにしました。会社には妻が安定期に入ったタイミングで相談をして、かなり早めに申請や業務調整を行いました。幸い会社に制度が整っていたのと、部門内での理解があったため、スムーズに処理は勧められました。この辺りは会社によって全く異なると思いますが、まずは就業規則などで制度を確認すると良いと思います。法律ですので、どの会社も制度自体は存在しているはずです。
6か月の休業というのは、私が住んでいる地方自治体の認可保育園に預けられる月齢が6か月から、だったからです。しかしながら、保育園に預けるタイミングと仕事の復帰のタイミングはずらした方が良かったかな、と後々思いました。例えば保育園の入園が6月の場合は、6月1日に仕事を復帰するのではなく、6月一杯様子を見て、7月1日の復帰がベターではないかと(育休を7か月取得するという事)。慣らし保育などもありますが、子どもが新しい環境に順応していくマージンは取っておいた方が安全だと思います。
まだ少ししか経っていませんが、育児休業を取得して本当に良かった、と心から思っています。子どもが帰ってきた直後に、嫁を休ませる目的で、夜中にワンオペもどきを試したことがあります。夜中の4時ごろにギャン泣きされて寝かしつけを上手く行うことが出来ず、隣の部屋で寝ていた嫁に半泣きになりながらヘルプを求めたのは今でも鮮明に覚えています。その後も夜間は毎日のように泣き止まないので、病気ではないか、救急に連絡しようか、などと思ったものです。こんな過酷な作業を嫁だけにお願いするのはダメだな、と強く思ったものです。
Lessons Learn
会社の制度を理解して(就業規則を読み込んで)出来るだけ長く育児休業を取りましょう。会社や上長との相談は、安定期(16週)以降出来るだけ早めに実施すると調整しやすいでしょう
Next Action
会社の人事に育児休業の制度について問い合わせる
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